バス・タクシー運転手もJLPT N4で特定技能1号になれるのか？
- a-alpajaro
- 11月10日
- 読了時間: 6分
10月30日の有識者会議で報告された特定技能1号でバス・タクシードライバーになるための日本語レベルがN3からN4に調整される可能性が出ています。こちらの変更が実施されると、特定技能のバス・タクシードライバーの数が増える見込みです
運送業における特定技能1号
特定技能制度は、日本の労働力不足を補うために設けられた制度で、外国人労働者が特定の産業分野で働くことを可能にしています。現在、運送業界では特定技能1号の資格を持つ外国人がトラック、バス、又はタクシードライバーとして働くことが認められております。
ただ、運送業でも特定技能者を受け入れるようになったのは他の業種より最近行われたことであり、実際の運用上に改善が必要が出ている状況です。
特に、バスとタクシードライバーの高齢化及び人手不足が深刻化している中、その策の１つとして期待されてた特定技能ドライバーも有意味な結果まで繋がれてないことが10月30日に行われた有識者会議で重要な論点として取りあがりました。
そして、その対策として議論されたのが、バス・タクシードライバーに求める日本語レベルの調整です。現在、トラックドライバーへ求めている日本語レベルはJLPT N4で、トラックより高い日本語実力が求められるバス・タクシードライバーにはJLPT N3を合格レベルとしています。
本記事では深刻しているバス・タクシー業界の詳細を分析し、特定技能ドライバーに求める日本語レベルを調整することでどのような影響があるかを解説いたします。
バス・タクシー運転者数は2019年から急落している
バス運転者数の減少
- 2019年から2022年の変化
バス運転者数は2019年の13.2万人から2022年には10.8万人に減少しました。これは約18%の減少を意味し、業界全体に深刻な影響を与えています。
- 人手不足の問題
バス業界では高齢化や若者の運転手職への関心低下が原因で人手不足が進行しています。この傾向は地方で特に顕著であり、運行本数の削減やサービスの質低下が懸念されています。
タクシー運転者数の減少
- 2019年から2022年の変化
タクシー運転者数も2019年の29.3万人から2022年には24.2万人に減少しています。約17%の減少は、タクシー業界にとっても大きな課題です。
- 影響と対策
タクシー業界では、運転者の高齢化が進んでおり、若い世代の参入が少ないため、運転者不足が深刻化しています。これに対する対策として、外国人労働者の活用が模索されています。
JLPT N3とN4の合格者割合の変化
直近のデータによると、日本語能力試験（JLPT）のN3とN4の合格者数の割合に変化が見られます。特にN4の合格者数が増加していることが注目されています。
N3とN4の合格者数の変動
実際にN3よりN4に合格している数が直近の3年間増えている状態です
- 2022年には、N3の合格者は全体の45.2%を占めていました。
- 2024年には、N3の合格者割合が41.6%に減少しています。
- 一方で、N4の合格者数は増加傾向にあり、N3に比べて相対的に多くの受験者が合格している状況です。
この変化は、N4レベルの日本語能力を持つ外国人が増えていることを示しています。特に、N4は基礎的な日本語能力を証明する試験であり、日常会話ができるレベルとされています。
区分 | R4 | R5 | R6 |
|---|---|---|---|
Ｎ3合格者 ① | 73,036人 | 117,212人 | 147,336人 |
Ｎ4相当② | 88,686人（+15,650） | 154,507人（+37,295） | 206,763人（+59,427） |
Ｎ３の比率 （①／①＋②） | 45.2％ | 43.1％ | 41.6％ |
日本語能力試験（JLPT）の合格実績
このような理由から、バス・タクシードライバーに求められる日本語基準を N4 まで引き下げる案が注目されていました。
N4のドライバーの場合に付けられる条件について
日本の運送業界では、外国人労働者の受け入れが進む中、JLPT（日本語能力試験）N4レベルの外国人がタクシーやバスの運転手として働く際の条件について議論が行われています。
特に、特定技能制度に関連する入国時の要件や、業務遂行に必要なサポート体制について、具体的な案が検討されています。
特定技能申請中に与えられる「特定活動」は、N4でも入国を認める方向
特定技能1号の在留資格を申請するために来日する外国人には、申請準備期間として「特定活動」の在留資格が付与されます。
現在、バス・タクシー分野の特定技能候補者（特定活動で入国する者）には JLPT N3以上を求めていますが、N4合格者も受け入れる方向で検討が進んでいます。
日本語サポーターの配置案
特定技能の取得後も日本語レベルがN4に留まるバス・タクシードライバーについては、コミュニケーション不足によるトラブルを防ぐため、乗務時に日本語サポーターを同席させる案が議論されています。
これは、乗客との円滑なコミュニケーションを確保するための措置と考えられます。
バス運転手は「離島・半島」に限り、N4でも単独乗務が可能
バス運転手の場合、特に離島や半島などの地域では JLPT N4でも単独乗務を認める方針を検討しています。これは、地域の特性や深刻な人手不足を踏まえた例外的な取り扱いです。
- 地域特性の考慮：離島・半島は交通手段が限られており、運転手の確保が難しいため、N4レベルでも乗務を認めることで交通インフラを維持する狙いがあります。
- 業界への期待：日本語要件が緩和されることで、バス・タクシー業界は外国人の採用が進み、人手不足の解消につながることが期待されています。
まとめ
今回の議論から明らかになったのは、バス・タクシー業界の深刻な人手不足を補うためには、日本語要件の見直しが不可欠であるという点です。
特に、JLPT N4合格者の受け入れが進めば、特定技能ドライバーの裾野が大きく広がり、採用の選択肢が増えることが期待されます。
一方で、安全運行や乗客とのコミュニケーションを確保するためのサポート体制の強化も、同時に進めていく必要があります。
今後、これらの課題にどのように対応し制度が整備されていくかは、業界全体の持続可能性を左右する重要なポイントとなるでしょう。
外国人ドライバーが安心して働ける環境を整えることこそが、交通インフラを守り、地域社会を支える大きな鍵となります。
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